着物買取のからくりは?着物買取業者が儲かる理由と売った着物のその後を解説

着物買取のからくり

「着物買取業者はどうやって儲けているんだろう?」
「そもそも着物買取業者って利益が出るの?」

近年では着物買取の広告をよく目にするようになりましたが「着物買取のからくり」が気になる方は多いでしょう。

自動車や腕時計、ブランドもののバッグやアクセサリーなどであれば買取後の想像はつきやすいですが、着物となると途端に「着物ってまだ需要あるの?」「誰が買うのだろう?」「どこで再販するの?」とイメージしづらいかもしれません。

そこで本記事では、着物買取の業者が儲かる仕組みや買い取られた後の着物の行方などを分かりやすく解説します。

着物を買取に出したいと考えているものの、本当に安心して任せてよいのか不安な方は、ぜひ参考にしてください。

執筆者

大手買取業者にてWebメディアの運用を担当。着物やブランド品などの買取分野において多数のコンテンツを執筆。現場で培った専門知識とユーザー視点を活かし、買取に関する情報をわかりやすく伝える記事制作を得意としています。

監修者

査定歴10年以上の現役査定士。着物をはじめ時計・宝飾など幅広い分野の査定に従事し、累計数万点の査定実績を持つ。大手買取会社での豊富な現場経験を活かし、実務に基づいた信頼性の高い監修を行っている。

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着物買取のからくりとは?着物はその後どうなる?

着物買取のからくりとは?着物はその後どうなる?

まずは着物買取で多くの方が気になるであろう「からくり」の核である、着物のその後を紹介します。

買い取られた後の着物は一体どうなるか、どこで販売されるのでしょうか?

オークションで販売

買った着物はオークションで販売される
引用:Yahoo!オークション

着物の中でも特に保存状態が良く、価値が高いものであれば、オークションで再販されることが多いです。

ヤフオクといった一般消費者向けのオークションサイトや、買取業者が業者向けに開催しているオークションなどが挙げられます。

インターネットはもちろん、会場内に着物の実物を展示してオークションが開かれる場合もあります。

着物レンタルショップに販売

買った着物はレンタルショップに販売される

保存状態が極端に良いとまでは言えないものの、まだまだ充分に着用できる着物であれば、着物レンタルショップに販売されることも一般的です。

浅草・京都・奈良といった、着物での観光の需要が高いレンタルショップに向けて卸される傾向にあります。

近年ではインバウンド需要の増加により、海外から着た観光客のニーズに沿うように、多種多様なデザインやサイズの着物が求められています。

さらに、レンタルショップに卸された着物は毎日のように着用されて劣化しやすいため、常にレンタルショップからは一定の需要が見込めるのです。

中古の着物を扱う呉服店に卸す

買った着物は中古の着物を扱う呉服店に卸す

中古の着物を買い取った場合、充分に美しさを保っている着物であれば呉服店に卸すことがあります。

中古品には着物ビギナーからのニーズが集まるので、呉服店でリサイクル品として再販されます。

また「イベントやパーティーの時だけ着て行きたい」「入学式や卒業式など限られたタイミングでしか着ない」など着用頻度は少ないものの、レンタル品には抵抗があるという人からの需要も高いです。

海外市場に向けて販売

日本文化への関心の高まりにより、ここ数年では着物の海外市場からのニーズが拡大しています。

オークションをはじめ国内で事業者間で取引される着物のうち25〜30%は海外のバイヤーに買い取られると言われており、さらに着物の輸出額も増加の一途を辿っていて、海外でも着物には高い需要があることが分かります。

そのまま和装として着用されるほか、現地の民族衣装にアレンジされて着用されることも多く、着物人気が高まっていることが伺えます。

写真館や劇団へ再販

オークションやレンタルショップほど販売する機会や枚数は多くありませんが、写真館や劇団に向けて着物を販売することもあります。

衣装として扱われ、多くの人が着用したり頻繁に着脱されるので、中古品の着物であっても高いニーズを有しています。

また、写真ソフトで加工して綺麗に見せることができ、目の前でまじまじと着物だけ凝視されることがないため、写真館や劇団では多少傷んでいても需要があります。

リメイクに使う

最近では20~30代の若者を中心に、着物はリメイクして楽しまれています。

ワンピースやシャツなど洋服として作り直したり、バッグ・小物入れ・傘など日用品に生まれ変わったりしており、新しい形で着物は愛されています。

海外に目を向けると、イスラム教徒の女性が使うヒジャブ(頭や身体を覆う布)やチャイナドレスなどにリメイクされ、民族衣装に取り入れられています。

なぜ着物買取専門店は儲かる?利益を出すからくりを解説

なぜ着物買取専門店は儲かる?利益を出すからくり

着物買取専門店は、どうやって儲けているのでしょうか?

なぜ利益を出せるのか、その「からくり」を解説します。

着物の販売自体で儲かる

海外市場に向けて販売したり、着物レンタルショップや呉服店などに卸したりするなど、着物を売ること自体で儲けを出しています。

特に高い売上が出るルートは業者向けのオークションでの販売で、複数のオークションに出品したり、自社でオークションを開催したりして大きく稼いでいます。

オークションには着物レンタル業者や中古品の着物販売業者などが参加して、希少性の高い着物や品質の良い着物を少しでも多く購入しようと競争します。

業者間で競り合いが起こってどんどん値段が釣り上がり、その結果高値で落札されることが多いのです。

このように着物を売却すること自体で大きく儲けられるので、業者は積極的に着物買取を行っています。

着物以外にも高級商品を買取して儲ける

着物以外にも高級商品を買取して儲ける

多くの着物買取業者は、着物だけではなくブランドもののバッグやアクセサリー・貴金属・宝石・腕時計など、多種多様な品目を査定対象としています。

上記した高級商品は着物と比べると価値が変動しづらかったり、アイテムによっては価値が上がっていく一方だったりするので、買取業者としては喉から手が出るほど手に入れたいのです。

しかし、貴金属や宝石といった高級商品は、一般消費者にも高い価値があると分かっていて率先して手放そうとは思わないので、業者は簡単には査定する機会を得られません。

そこで着物を取っかかりにして利用客を集めるケースがあります。

着物を査定している際に「弊社では○○や××も取り扱っていますが、もし不要でしたら一緒に売却しませんか?」と査定員が提案したり、ホームページで着物以外の買取品目を紹介したりして、業者が本当に買い取りたい高級商品を査定の場に出させるのです。

ちなみに、着物に目もくれずにブランド品や宝飾品の買取を目論む業者もいるため、注意してください。着物買取時のトラブル事例としても、多数あります。

このように着物と一緒に査定した高級商品を買い取ることで、業者は利益を出しています。

もちろん査定員に勧誘されたからといって必ずしも他の品物を見せる必要はないうえに、勧誘を断ったからと言って査定員の心象が悪くなる・着物の買取価格が下がるということはないので、着物だけ売りたい場合でも遠慮なく業者に連絡しましょう。

着物買取業者での査定額の違いのからくり

着物買取業者での査定額の違いのからくり

着物買取のからくりがわかっても、実際に業者によって査定額に差があるのはなぜ?と感じるかもしれません。

得意ジャンルや販路の違い

着物と一口に言っても、訪問着・振袖・留袖・反物・作家ものなどジャンルは多岐に渡ります。

業者によって得意とするジャンルが異なるため、自社で需要の高いジャンルであれば高額査定になる傾向があります。また、販路も影響します。

例えば海外輸出のルートを強く持っている業者は、外国人に人気のデザインやサイズの着物に高い値段を付ける傾向があります。

このような理由から、着物買取の業者によって査定額は異なるため、着物売却を検討している場合には、いくつかの業者で相見積もりを取ることをおすすめします。

着物以外の買取目的があるかどうか

買取業者の中には、査定に呼んだついでに宝石・ブランドバッグなどの高額品も一緒に買い取ることを狙っているところもあります。

こういった業者は「着物単体では赤字でもいい」として、高めの査定額を提示してくるケースもあるため、相場より高い金額が出ることがあります。

ですが「着物以外を強引に買取されたりしないかな?」と不安になるかもしれません。

実際、多くの買取業者では「もし不要な品があれば一緒に査定しますよ」と提案されるだけで、こちらが断ればそれ以上の営業は行われません。

ただし、すべての業者が良心的とは限らないため、「口コミや評判の確認」「複数社での比較」「訪問査定より宅配査定を選ぶ」といった対策を取ることで、トラブルを防ぎやすくなります。

再販コストをどう見積もるか

保存状態の悪い着物を扱う場合、クリーニングや修繕費が発生します。

業者によっては、これらの「再販にかかるコスト」を厳しく見積もるところもあり、その分査定額が下がることもあります。

一方、自社でクリーニング設備を持っていたり、修繕ノウハウがある業者ではコストを抑えられるため、多少状態が悪くても高く買い取ってくれる場合があります。

まとめ

着物買取のカラクリまとめ

着物買取業者は、オークション・着物レンタルショップ・呉服店・海外市場など、さまざまな場所へ着物を販売して儲けています。

具体的には、以下のような販路があります。

  • ヤフオクなどのオークションサイトでの転売
  • 観光地などの着物レンタルショップへの販売
  • 中古の着物を扱う呉服店への卸し
  • 写真館や劇団への衣装提供
  • 海外市場での輸出・リメイク需要への対応

また、業者の多くは着物だけでなく、宝石・貴金属・ブランドバッグなども扱っており、これらの高級商品の買取によって大きな利益を生み出しています。

つまり、着物買取業者は「着物単体でも儲けを出せるうえに、そこからさらに高級品の買取へとつなげて利益を最大化している」のです。

こうしたからくりを理解すれば、「なんとなく怪しい」「安く買い叩かれるのでは?」という不安も和らぐはずです。

着物の処分に悩んでいる方は、今回ご紹介した内容を参考に、納得できる形で買取を進めてみてください。

以上、着物買取のカラクリについてでした。

運営

合同会社ymtは、着物の宅配買取を中心としたリユース事業を展開しながら、買取業に携わる企業向けに現場目線のコンサルティングサービスも提供しています。

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