着物の高額買取はありませんは事実?100円で買い叩かれる?高額買取が難しい理由や少しでも高く売る方法まとめ

着物の高額買取はない

京都の帯仕立て業者が、自社のホームページやX(旧Twitter)にて「着物の高額買取なんてありません」と明言したことで大きな話題を集めました。

引用:みつやま

この投稿は瞬く間に拡散され「たしかにそんな高く売れなかった」「いや、うちは高く売れたよ」といった声が飛び交い、着物買取に対する世間の関心の高さが伺えました。

この発言が事実だとすれば、大切な着物を手放すことを躊躇してしまう方も多いでしょう。しかし、この発言には「すべての着物が安く買い叩かれる」という誤解も含まれている可能性があります。

どういった意図が含まれているのか、投稿した理由や背景は何なのかを解説します。

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話題になった「着物の高額買取なんてありません」は事実?

話題になった「着物の高額買取なんてありません」は事実?

実際、着物の買取市場では「思ったより安かった」という声が多く見られます。

一度も袖を通していない着物の査定額が購入価格の1%にも満たず、査定も着物の価値をチェックするというよりは、汚れや傷がないかを確認する程度で、時間としてもあまりにも短かったため、査定額になった理由を尋ねると、在庫が多く需要が少ないからだと言われ、それが原因であれば、査定を出す意味がないのではないかとガッカリした。

30代 女性 / 大手の総合買取店を利用

兎に角査定を低くしたいのか、扱いが雑でイライラしました。おばあちゃんから貰った着物で300万したのに5000円はありえない。桐箪笥でシミもなくきちんと保管していたのにアレコレ理由を付けて安くされた。

40代 女性 / 大手の総合買取店を利用

新品で数十万円した着物でも、査定額が数千円~1万円程度にしかならないケースは珍しくありません。

とくに着物に詳しくない方にとっては、その価格差にショックを受けることもあるでしょう。

では「高額買取がない」という言葉は本当に正しいのでしょうか?

結論から言うと「基本的には高額買取は難しい」が正確な表現です。

ただし、すべての着物が安く買い叩かれるわけではなく、条件次第では高値がつくこともあります。

基本的には買取金額は購入額の10分の1ほど

着物は新品で購入すると数十万円から百万円を超えることも珍しくありません。

しかし、いざ買取に出してみると「数千円しかつかなかった」と驚く方が多いのが現実です。

一般的に、着物の買取価格は購入価格の10分の1以下になることが多く、場合によっては100円〜1,000円程度の査定額が提示されることもあります。

これは、中古着物市場における需要の低さや保存状態、証紙の有無など多くの要素が査定に影響を与えるためです。

高額買取になるケースも稀にある

すべての着物が安く買い叩かれるわけではありません。

条件が揃えば、数万円〜十数万円の高額査定がつくケースも実在します。

たとえば以下のような場合は、高値がつきやすい傾向にあります。

  • 有名作家による着物(落款入りなど)
  • 重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品
  • 証紙や産地証明書が揃っている未使用品、または非常に保存状態が良好
  • 人気のある柄や、成人式・結婚式向けの振袖など需要の高いアイテム

ただし、これらの条件を満たす着物は全体のごく一部に限られます。

多くの着物は市場価値がつきにくく、結果として「高額買取はない」という意見が支持されやすい状況となっています。

着物買取で高額買取が難しい理由

着物買取で高額買取が難しい理由

着物は本来、高価なものであり、美術品としての価値を持つものも少なくありません。

にもかかわらず、実際の買取現場では驚くほど安く評価されることがあります。

ここでは、なぜ着物の買取価格が低くなりやすいのか、その主な理由を3つに分けて解説します。

中古着物の需要が少ない

現在の日本では、日常的に着物を着る機会が激減しています。

着物は「特別なときの衣装」として扱われることが多くなり、日常使いされることはほとんどありません。

そのため、中古市場においても「買いたい人」が限られており、需要が少ない=買取価格が下がるという構図になっています。

特に無名作家や一般的な訪問着・小紋などは、再販しても売れ残る可能性が高く、業者も高値をつけにくいのです。

また、海外市場も存在はしますが、もともと日本人の体型に合わせて仕立てられた着物は、外国人の体格に合わないことが多く、サイズ的な制約がネックになります。

そのため、海外バイヤーが高値で買い取るケースは非常に稀で「海外だから高く売れる」という期待は現実的ではありません。

保存状態や証紙の有無が大きく影響

着物は非常に繊細な繊維で作られており、少しの湿気や光でも変色・カビ・シミなどのダメージが生じやすい商品です。

長年タンスにしまわれていた着物は、見た目にはきれいでも、ニオイや虫食い、ヤケなどの影響を受けていることがあります。

また、着物の価値を証明する「証紙」がない場合、本物であるかの判断が難しくなり、査定額が大きく下がってしまうケースもあります。

とくに高級織物や伝統工芸品とされる着物においては、証紙の有無がそのまま価格に直結します。

着物の価値が見抜けない査定員がいる

全国に着物買取業者が増えている一方で、査定員の質にはばらつきがあります。

着物の知識が浅い担当者に当たってしまうと、価値ある着物でも正しく評価されず、低い査定額を提示されることも少なくありません。

実際にX(旧Twitter)でも以下のような投稿があり、100万円以上で購入した着物に対して、わずか数千円〜数万円という査定額しかつけられなかったという報告も見受けられます。

有名作家・伝統工芸品・老舗織屋などの高級ブランドの着物であれば、よほど保存状態が悪いケースや着物市場での需要が低いタイミングなど特例を除いて、買取価格が数千円になることはないでしょう。

着物の価値は、見る人によって大きく変わるため、査定員の知識と経験が買取価格に直結します。

査定内容に少しでも違和感がある場合は、その業者の利用を見送る判断も必要です。

着物を少しでも高額買取してもらうには?

着物を少しでも高額買取してもらうには?

ここまで、着物の買取価格がなぜ安くなりやすいのかをご紹介してきました。

しかし「どこに出しても安くしか売れない」とあきらめる必要はありません。

ちょっとした工夫や業者選びのコツを押さえることで、査定額が数千円〜数万円単位で変わることもあります。

ここでは、少しでも着物を高く売るために実践できる2つのポイントをご紹介します。

高額買取してもらいやすい業者に依頼する

まず大切なのは「着物専門の知識がある業者」に依頼することです。

買取価格は、査定員の知識と経験、そして業者の販売ルートによって大きく左右されます。

たとえば、総合リユースショップのような業者では、着物を一枚ずつ丁寧に査定することは少なく「着物10枚で1,000円」といったまとめ売りの形で扱われてしまうこともあります。

しっかりとした作家物だったのですが、本物かどうかわからないので一律100円での買取と言われてしまいました。その時に対応してくださった女性が結構手荒に着物を扱うので、そこも嫌になってしまいました。

30代女性 / 大手の総合リユースショップを利用

こうした業者では、希少価値のある着物であっても正当な価格がつかない可能性が高いでしょう。

また、業者がどんな販路を持っているかも重要なポイントです。

地方にある個人経営の着物店などでは、自店舗で売るしかないため、販路が限定的になり、その分「売れる見込み」を加味して買取価格が抑えられる傾向があります。

一方で、全国展開している業者や海外市場にも販路を持つ業者であれば、高く買い取っても後で十分な利益を出せるため、査定価格にも余裕が出やすいのです。

高額買取を狙うなら、ただ「着物を扱っている」だけでなく「どれだけ査定と再販に強いか」という視点で業者を選ぶのがポイントです。

1社ではなく2〜3社で相見積もりをとる

買取価格は業者によって大きく異なるため、複数社に査定を依頼する「相見積もり」は必須です。

とくに1社目で「◯◯円です」と提示された金額が妥当かどうかは、他社の査定額と比較しない限り判断できません。

また、意外と見落とされがちなのが「業者ごとの在庫状況」です。

例えば、ある業者がすでに振袖の在庫を大量に抱えている場合「今はほしくない」という理由で査定額が下がることがありますが、振袖が品薄な別の業者では、多少高くてもすぐに売れる見込みがあれば、高めに買取してくれる可能性があります。

業者タイプ高く評価されやすい傾向
海外販路が強い業者鮮やかな柄・金彩・訪問着らしい豪華さがあるもの
和装専門の老舗業者正統派の京友禅・落ち着いた地色・控えめな古典柄など
在庫を多く抱えている業者デザインが似ていれば「もう充分ある」と安く見積もる

相見積もりを取るという行為は、こうした在庫状況の差による価格ブレの恩恵を受けるためにも非常に有効です。

着物の状態を整えておく(特に匂いや埃など)

着物を少しでも高く売るには、査定前に状態を整えることがとても重要です。

特に シミ・カビ・におい・シワ・ホコリ など、目に見える部分や香りの印象は、査定員の第一印象を左右する大きなポイントです。

査定額に直接響くこともあるため、事前のケアは惜しまずに行いましょう。

以下のようなポイントを意識してみてください。

  • 軽くホコリを払う(柔らかい布 or 手でなでるだけでOK)
    表地・裏地のホコリや毛が残っていると、保管状態が悪いと見なされる
  • 湿気が気になる場合は陰干し(直射日光NG)
    カビ臭・防虫剤の強いにおいを和らげる効果がある
  • 目立つシワは丁寧にたたみ直す
    扱いが丁寧だったという印象を与えるだけでも査定はプラスになる
  • たとう紙がボロボロなら新しい紙に入れ替える
    可能であれば綺麗なたとう紙にすることで印象アップにつながる

完璧に綺麗にする必要はありませんが「大切に保管していた」という印象を与えるだけでも、査定額が上がる可能性があります。

まとめ

「着物の高額買取はありません」についてのまとめ

「着物の高額買取なんてありません」という言葉には、一定の現実が含まれています。

実際、多くの着物は購入時の価格に比べて極端に安い査定額しかつかず、数百円〜数千円で買い取られるケースも珍しくありません。

しかし、それは「すべての着物が価値がない」という意味ではありません。

保存状態が良好であったり、有名作家や老舗織元による作品、証紙付きの着物などは、高額査定につながる可能性があります。

着物を少しでも高く売るためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • 着物に詳しい査定員が在籍する、専門業者を選ぶ
  • 業者の販売ルート(販路)にも注目する
  • 1社に絞らず、複数の業者で相見積もりを取る

適切な手順を踏むことで、納得のいく価格で売却できる可能性は十分にあります。

着物を売る際には、焦らずに信頼できる業者を見極め、複数社で査定をとるなど、冷静に比較検討しましょう!

以上「着物の高額買取はありません」についてでした。

コラム:京都の仕立て屋はなぜ「着物の高額買取ありません」と発言したのか

なぜ「着物の高額買取ありません」と発言したのか

「着物の高額買取なんてありません」という発言がここまで話題になったのには、それだけ多くの人が「着物をどう売るべきか」で迷っている背景があります。

「着物の高額買取ありません」と発言

そして、この印象的な言葉を発信した京都の帯仕立て業者には「悪徳買取業者による押し買いへの注意喚起」という明確な意図がありました。

悪徳業者による押し買いへの注意喚起

発信した京都の帯仕立て業者によると、着物買取業者の中には悪徳商法の1つである「押し買い」をする業者が存在することへの注意喚起を目的としているようです。

押し買いとは査定員を名乗る者が突然自宅を訪問して「不要品を見せてください」と家に上がり込み、高級商品であるアクセサリーや腕時計、貴金属などを半ば強引に買い取ることです。

着物を買い取るという話だったのに、もっと金目のものをみせてくれないかといったような、とてもしつこい態度に豹変。

ことわりつづけてもかなりねばり辟易とした。ほかに売りたいものはないと断るも、態度を変える前の世間話のときに他にどのようなものを持っているか聞きだされていてとてもこまった。

40代女性 / 無名の買取業者を利用

私の成人式の振袖と母が持っている着物(数着)を出張査定、買取でお願いしました。後日来て、まず査定。目視すること2~3分で終了。着物査定終了。

すると査定員の方が母に「他に何かないですか?例えば貴金属的みたいな物とか。ブランド物とか。わたくし着物のみの買取だけでは会社に帰れないので」と。

すると母がしていた指輪を目にし即「あっ、その指輪査定させて下さい。」と一言。母がしていたのは母の親(私からしたら祖母)から譲り受けた物、いわゆる形見。

当然母も「これは~」と言いかけたのですが「お願いしますよ~。」としつこい査定員。私はすかさず「これは私が譲り受ける物なので駄目です」と言い返しました。

すると不機嫌になり「じゃあ、他に何かないですか?」と怒り気味で言ってきたので、仕方なく古い方のブランドバッグを出したところ1,000円の査定額で買取。ですが、着物は未買取。そのまま退散で終了となりました。

40代女性 / 無名の買取業者を利用

以前から押し買いによる被害は後を絶たず、多くの人に注意喚起をしたいと考えた結果「着物の高額買取なんてありません」という非常にインパクトがある文言を打ち出したと考えられます。

確かに押し買いしてくる買取業者は悪徳である可能性が高いので注意しなければなりませんが、自ら査定を依頼する形で問い合わせた業者であれば優良であるところがほとんどです。

また、着物の保存状態が大変良かったり、有名ブランドや産地の逸品であったりすれば高価買取が期待できます。

ですので、自分でしっかりと調べた買取業者に任せるのであれば、「着物の高額買取なんてありません」という言葉に過敏になる必要はないでしょう。

運営

合同会社ymtは、着物の宅配買取を中心としたリユース事業を展開しながら、買取業に携わる企業向けに現場目線のコンサルティングサービスも提供しています。

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