大島紬の買取相場まとめ!種類別の値段の違いや大島紬を高く売るコツまで解説

大島紬の買取相場

鹿児島県の奄美大島を中心に生産される絹織物である大島紬(おおしまつむぎ)

細かい絣(かすり)模様や幾何学模様が特徴で、複雑で美しい文様が織り出されており、着物市場では高値で取引されています。

本記事では、大島紬を査定に出したい方のために、買取相場やおすすめの大手の買取業者、買取でよくある質問などをご紹介します。

大島紬を少しでも高く買い取って欲しい方や、どの買取業者を選んだら良いか悩んでしまう方は、ぜひ参考にしてください。

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目次(タップで開く)

大島紬の買取相場

大島紬の買取相場は「ブランド(作家・産地)」「状態」「証紙の有無」などの条件によって大きく変動します。

高額になるケースもあれば、買取不可になることも珍しくありません。

まずはざっくりとした相場の目安と、価格に影響を与える主要なポイントを確認しておきましょう。

種類状態証紙相場の目安
有名作家・ブランド(都喜ヱ門・恵積五郎など)新品同様あり10万〜20万円以上
使用感少なめあり3万〜10万円
無銘の本場大島紬(現代的な柄)美品〜未使用あり5,000円〜3万円
シミ・軽度の使用感ありあり〜5,000円
反物(作家もの・柄物)未仕立てあり3,000円〜2万円
古い大島紬(傷み・カビ・汚れあり)劣化ありなし0〜2,000円

ブランド・作家による買取金額の差

大島紬は、誰が手がけたかによって買取価格が大きく変わります。

特に都喜ヱ門(ときえもん)や恵積五郎(けづみごろう)など、高い技術と独自の世界観で知られる作家ものは希少性が高く、コレクターからの需要もあるため、数万円〜20万円以上の高額査定になることもあります。

一方で、産地で量産された無銘の大島紬や、大量流通していた古い着物は、素材が正絹であっても相場は数千円〜1万円前後にとどまることが一般的です。

大島紬の状態による買取金額の差

大島紬に限らず、着物全般の買取において「状態」は最重要ポイントのひとつです。

新品未使用品や、しつけ糸が付いたままの美品であれば、買い手のニーズも高く、相場よりも高額になる傾向があります。

一方で、以下のような状態だと評価は一気に下がります。

  • シミ・黄ばみ・カビがある
  • 湿気臭やタバコ臭が強い
  • 生地が傷んでいる裏地が変色している

このような場合、たとえブランド品であっても減額対象となったり、買取不可になるケースもあります。

保管前に虫干し・陰干しをしておくと、ニオイやカビ防止につながり、状態評価UPが期待できます。

証紙の有無による買取金額の差

証紙(しょうし)とは、その着物が本物であることを証明するラベルや紙片を指します。

大島紬の場合は「本場大島紬」と記された証紙が複数種あり、組合発行のものや作家・工房ごとのものが存在します。

この証紙があることで、業者は素材や技法の確認がしやすくなり、正統な大島紬として高く評価されやすくなります。

逆に、証紙がない場合は、以下のように買取価格が下がったり、査定自体を断られることもあります。

  • 本物かどうか判断できない
  • 他の素材の可能性がある
  • 買取後の再販が難しい

着物の裏地やたとう紙の中に証紙が入っていることがあるので、査定前には念のため探してみましょう!

ちなみに着物の査定に慣れた専門業者であれば、証紙がなくても反物の織り・風合い・模様から判断し、おおよその価値を見極められることも多いです。

大島紬を高く売る方法!売却で失敗しないポイント

大島紬を高く売る方法!売却で失敗しないポイント

大島紬は着物の中でも特に繊細で価値の高い織物ですが、売却時にはちょっとした準備や工夫によって、買取価格が大きく変わることもあります。

せっかくの高級着物を安く手放してしまわないよう、ポイントを押さえておくことが大切です。

ここでは、大島紬をなるべく高く、そして納得のいく形で売却するために、事前にやっておきたい準備や注意点を4つにまとめてご紹介します。

大島紬を良い状態にしておく

大島紬の保存状態は、査定金額を最も大きく左右する要素です。

保存状態が大変良く、シミ・シワ・虫食い跡・黄ばみ・日焼け・カビなどが見られない高品質なものは、高価買取が期待できます。

もし「カビ臭くてシミだらけ」「シワと虫食い跡がたくさん見受けられる」というように保存状態が悪いと、二束三文でしか買い取られない恐れがあります。

保存状態を劣化させないように「定期的に日陰で干す」「暗くて風通しの良い場所で保管する」といった対策を心がけましょう。また、たとう紙で包むのは必須です。たとう紙は、1年に1度変えるようにすると、着物はより良い状態をキープできます。

証紙を必ず出す

着物の証紙とは特定の品質基準や審査をクリアしたことを示し、着物の価値を表すために付属する証明書です。

その着物が「本物」であることを証明するもので、有名なファッションやバッグブランドのギャランティーカードに似た役割を果たします。

証紙には以下のような情報が記載されています。

  • 産地:着物の生地が作られた地域
  • 織元(製造者):着物を製造した工房やメーカー名、作家名
  • 伝統工芸品マーク:経済産業大臣指定の伝統工芸品であることを示すマーク
  • 織り方:手織りか機械織りか
  • 原料名:使用されている素材(正絹や麻など)
  • 染め方:染色方法(泥染めや藍染めなど)

査定時に着物と一緒に提出すると、大島紬が本物で価値が高い逸品であると証明できるので、査定員に高い買取金額を提示してもらえる可能性が高まります。

証紙がないだけで買取金額が数十万円も低くなることがあるので、証紙が手元にある場合は必ず査定員に見せましょう。

大島紬ですら、証紙がないために価値はなくゴミに出したという方までいます。

小物類も一緒に出す

長襦袢・裾除け・足袋・草履・帯締め・帯揚げ・重ね衿・伊達締め・髪飾りといった和装小物類も、大島紬の着物とともに査定に出すことをおすすめします。

これから大島紬の着物を購入したい人からすれば、「時間と手間をかけて着物と和装小物を1点ずつ買う」よりも「購入後にすぐに全身のコーディネートができるように、着物と和装小物が最初から一式揃っている」方が便利です。

着物の買取業者からすると、着物本体と併せて和装小物類も買い取って、セット品として再販した方が需要が高くて利益になりやすいです。

そのため、大島紬とともに和装小物類を1点でも多く買い取ってもらうことで、着物を単体で売却するときよりも査定金額がアップしやすくなります。

相見積もりをする

大島紬の買取価格は業者によって大きく異なるため、複数の業者に査定を依頼する「相見積もり」は不可欠です。

母の着物を30着以上持ち込んだのに、3000円の査定になった。大島紬もあったので、買取を拒否したところ、もう一度ちゃんと見たいと言われ、査定額が約3万円になった。危なく損するところだった。

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業者によって買取金額が異なる要素は「販路の広さ」や「業者の在庫状況」です。

大島紬の買取は「織元・証紙・状態」といった着物本体の要素だけでなく、業者の販路と在庫状況にも大きく左右されるため、相見積もりを取ることで本当の価値に近い価格で手放すことができます。

販路が狭いと高価買取は期待しづらい

たとえば地元の個人着物店や小規模なリサイクルショップなどでは、自店舗での販売が主な販路となるため、回転率や需要の関係から、高額での買取が難しくなる傾向があります。

再販の見込みが立ちにくい商品については、当然ながら査定額も低く抑えられてしまうのです。

一方で、着物専門業者の中には全国規模の販路や海外ルートを持っているところもあり、在庫状況や市場動向に応じて高めの査定を提示してくれるケースもあります。

在庫状況によって買取金額が変わってくる

たとえば泥染の黒大島をすでに大量に抱えている業者は「今は仕入れを抑えたい」と判断して価格を下げる一方で、白大島や藍泥などを積極的に求めている業者では思いがけない高値がつく可能性もあります。

大島紬の買取で高価買取が期待できる業者

大島紬の買取で高価買取が期待できる業者

大島紬を少しでも高く売りたいと思ったら、どの業者に依頼するかが非常に重要です。

同じ着物でも、査定する業者によって価格は数倍以上の差がつくことも珍しくありません。

ここでは、大島紬の知識があり、実績豊富で高価買取が期待できる代表的な業者を3社ご紹介します。

それぞれの特徴を把握し、自分に合った業者選びの参考にしてください。

福ちゃんは大島紬の買取実績がとても豊富で買取実例も包み隠さず公開

福ちゃん着物買取の口コミ
【公式HP】https://fuku-chan.jp/kimono/
業者名福ちゃん
買取方法店頭・出張
買取エリア全国(沖縄を除く)
料金全て無料
公式サイト公式サイトはこちら
キャンペーン買取金額が10%アップ

福ちゃんは累計で800万点以上の買取実績を持ち、業界でもトップクラスの実績を誇る買取業者です。

大島紬を含む着物をはじめ、切手・古銭・骨董品・食器など多岐にわたる品目を買い取っていて、振込手数料・査定料・出張買取料などのサービスにかかる費用はすべて無料です。

福ちゃんは「大切な想いをつなぐ」をコンセプトに掲げ、丁寧で分かりやすい説明をしてくれるため、初めて買取サービスを利用する方でも安心して取引できます。

また「おもてなし」を心がけている接客態度とスピード査定を重視しており、83%と顧客満足度が高い点も大きな魅力でしょう。

加えて、経験豊富な査定員による専門的な査定はもちろん、国内外の豊富な販路や海外バイヤーとの直接取引など独自の販売経路を確保しているので、大島紬の高価買取が期待できます。

実際に、福ちゃんでは大島紬の買取実績が豊富にありました。

ブランド名買取金額
大島袖 本場奄美大島
古代染色純泥染 十二マルキ 茶
205,000円
本場大島紬 純泥染
都喜ヱ門 船 証紙 はぎれ
27,000円
本場大島紬 泥染め 作家物
恵積五郎 絵絣 つばき戯れ
14,000円

「大島紬を高価買取してもらいたい」「手数料がかからない買取業者に依頼したい」「顧客満足度が高い買取業者を選びたい」という方は、ぜひ福ちゃんにお問い合わせください。

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バイセルは大島紬を含む着物の買取実績が豊富で累計買取数は業界トップクラス

バイセル着物買取
【公式HP】https://buysell-kaitori.com/
業者名バイセル
買取方法出張・店頭・宅配
買取エリア全国
料金全て無料
公式サイト公式サイトはこちら
キャンペーン抽選で買取金額5倍

バイセルは東証グロース上場企業が運営していて信頼性が高く、年間27万件もの問い合わせや累計の買取点数が3,700万点と実績が豊富な買取業者です。

大島紬の買取実績も、公式HPに記載があります。

ブランド名買取金額
本場大島紬など着物数点200,000円

「顧客満足度が高い出張買取」や「家族・友人に紹介したいサービス」で4年連続でNo.1を獲得しており、利用客からの信頼が厚いことも特筆して挙げられます。

プライバシーマークを取得していて、利用客の情報保護に厳重に取り組んでいるので、昨今問題視されている情報漏洩の観点でも安心して利用できるでしょう。

さらに、バイセルの買取方法は出張買取・宅配買取・店頭買取と多様で、自分の都合に合う方法で大島紬を売却できる点がポイントです。

問い合わせから利用後のアフターフォローまで各専門部署が担当しているので、「これって売れるのかな?」といった些細な疑問から、「売却してしまったけどキャンセルしたい」など取引に関するサポートまで何でも気軽に相談できます。

「実績が多い買取業者を探している」「懇切丁寧に接客してもらいたい」という方は、ぜひバイセルに大島紬の査定をご相談ください。

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ザ・ゴールドは大島紬をはじめ買取実績一覧をWeb上で公開中

【公式HP】https://www.the-gold.jp/feature/kimono/
業者名ザ・ゴールド
買取方法出張・店頭・宅配
料金全て無料
公式サイト公式サイトはこちら
キャンペーン抽選で10名に現金5万円

ザ・ゴールドは着物専門の査定チームを有しており、大島紬をはじめとする着物の知識が豊富な査定員が対応してくれる買取業者です。

「接客応対の満足度が高い買取店No.1」「電話対応の満足度が高い買取店No.1」など多くの審査部門で1位を獲得していることから、安心して大切な大島紬の買取を任せられるでしょう。

着物専門チームに所属する査定員が丁寧に査定してくれるので、大島紬の価値を見落とすことがなく、作家や素材といった情報をもとに適正な価格で買い取ってもらえます。

国内外に再販ルートを豊富に確保しているため、古かったり価値が分からなかったりする大島紬でも買い取ってくれる可能性が高いです。

ちなみに実際に大島紬の買取実績が公式HPに掲載されていました。

ブランド名買取金額
本場縞大島の紬など105,000円

また、ザ・ゴールドは不動産・法律・葬祭会社など他業種の企業と提携しているので、大島紬の買取と並行して生前整理・遺品整理についても幅広く相談可能です。

「大島紬を安値で買い叩いて欲しくない」「保存状態が良くないため売れるか不安」という方は、ぜひザ・ゴールドに買取をお任せください。

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大島紬の買取に関するよくある質問

大島紬の買取に関するよくある質問

「古い着物(大島紬)でも売れる?」「証紙がないとダメ?」といった、大島紬の買取に関する疑問にお答えします。初めて売る方でも安心できる情報をまとめました。

古い大島紬も買取してもらえる?

大手の買取業者であれば再販ルートを多数保有しているので、古い大島紬でも査定対象としています。

大島紬は非常に人気が高い着物で、多少古かったり傷んでいたりしても充分に需要があるため、買い取ってもらえる可能性があります。

ただ「古いから」という理由だけで査定を拒否されることはないので、遠慮なく買取業者に申し込みましょう。

大島紬でも買取できず売れないこともある?

いくら高級織物として名高い大島紬であっても、「黄ばみが多数ある」「汚れやシミが目立つ」といった保存状態が著しく悪い場合は、査定金額を1円もつけられないかもしれません。

また、買取業者の中には、大島紬でもノーブランド品は買取不可としているところもあります。

そのため、売れるかどうか不安な大島紬をお持ちでしたら、事前に買取業者のスタッフに査定してもらえるか相談してみてください。

買取が難しい大島紬の処分方法は?

買取業者の中には、買取不可となった品物を無償での引き取りサービスを実施しているところがあるので、処分を依頼しましょう。

引き取り後はごみとして焼却処分することはなく、格安で再販したり生地として活用したりするなど丁寧に再利用してもらえるので、安心して手放せます。

証紙がない大島紬でも買取してもらえる?

はい、証紙がなくても大島紬として買取してもらえる可能性はあります。

ただし、証紙があることで「本場大島紬」であることの証明となり、査定額が高くなるケースが一般的です。

証紙がない場合でも、専門の査定員が生地や柄、織り方などを確認して判断してくれる業者を選ぶと安心です。

大島紬の反物でも売れるの?

反物の状態でも大島紬は買取可能です。

とくに未使用で保存状態の良い反物は、仕立て済みの着物よりも高値がつく場合もあります。

証紙が付属していると信頼性が高まり、査定額アップにつながることもあります。

反物だからと諦めず、まずは査定に出してみるのがおすすめです。

しつけ糸がついたままの大島紬は高く売れる?

しつけ糸がついたままの大島紬は「未使用品」と判断されやすく、高額査定の対象になることが多いです。

とくに汚れやシミがなく、証紙付きの状態であれば、状態の良い中古品よりも高く評価される傾向があります。

無理にしつけ糸を外さず、そのままの状態で査定に出すのがベストです。

大島紬の買取相場まとめ

大島紬の買取相場まとめ

大島紬は日本を代表する着物の素材であり、着物市場では常に非常に人気が高く、高価買取が期待できます。

特に都喜エ門や恵積五郎といった有名メーカーや人気着物作家の作品は、ノーブランドの大島紬よりも高値で買い取られやすいため、不用であればぜひ買取業者で売却することがおすすめです。

大島紬を査定に出す際は、証紙や和装小物類を併せることを忘れず、保存状態を良好にしてからにしましょう。

また、大島紬は非常に価値が高い織物の種類ですので、価値を見落とすことなく高い金額を提示してもらえるよう、今回ご紹介したような大手の買取業者に査定を依頼することが賢明です。

福ちゃんやバイセル、ザ・ゴールドなどの公式ホームページをチェックして、自分に合う買取業者を探してみてください。

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コラム:作家・ブランド別の大島紬の買取相場

大島紬の買取相場

大島紬は種類や作家、状態によって買取相場が大きく異なります。ここでは代表的な作家ごとの大島紬の特徴と、相場の目安について解説します。

種類買取相場
都喜エ門10,000円~100,000円ほど
恵積五郎50,000円ほど
益田勇吉10,000円~50,000円ほど
桑原啓之介30,000円ほど
叶孝則10,000円~50,000円ほど

都喜エ門の大島紬

出典:奄美の里サウスヴィラガーデン

都喜ヱ門の反物の買取相場は、10,000円~100,000円ほどとなっています。

都喜エ門(ときえもん)は、鹿児島県奄美大島で生産される最高級の大島紬ブランドの1つです。

ブランドの起源は江戸時代後期に活躍した紬織物の名工・泉喜右衛門(いずみ きうえもん)にさかのぼり、1973年に藤絹織物株式会社によって「都喜ヱ門」ブランドとして展開されました。

緻密な絣の表現はもちろん、豊かな色彩や斬新な図柄など、高度な技術によって1着ずつ職人によって繊細に作られています。

その作品は美術的な美しさを持つことから「美術大島」と称されるほどで、1994年には「百寿」という作品が英国立ヴィクトリア博物館に収蔵され、世界的に高い評価を受けました。

なお、都喜ヱ門の反物には金ラベルと銀ラベルの2種類があり、金ラベルの方がより高品質とされているので、査定に出す前に確認してみてください。

恵積五郎の大島紬

恵積五郎の大島紬
引用:本場大島紬きもの幸造

恵積五郎の大島紬の買取相場は、50,000円ほどだとされています。

恵積五郎(めぐみ せきごろう)は、鹿児島県奄美大島を拠点に活躍した本場大島紬の著名な職人であり、昭和時代を代表する大島紬作家の1人です。

第二次世界大戦後、多くの大島紬の織元が廃業を余儀なくされる中、恵積五郎は本場大島紬を守るため奮起して業界を牽引する存在となりました。

恵積五郎は「絣の魔術師」と称されるほど精緻な絣技術を持ち、その作品は絵画のように美しい文様が特徴です。

織り上げた際に柄がずれることなく表現される技術力は、日本のみならず世界でも非常に高く評価されています。

1969年には息子の恵美知雄(めぐみ みちお)が2代目社長に就任して後を継いだもの、後継者不足により現在では閉業していて新作が出ないことから、着物市場では希少価値が高い逸品として人気を博しています。

益田勇吉の大島紬

益田勇吉の大島紬は、10,000円~50,000円ほどが買取相場です。

益田勇吉(ますだ ゆうきち)は大島紬の伝統的な技法を継承しながらも、新しい図柄や技法を追求し、独自の作品を生み出している織物作家です。

奄美大島の東に位置する喜界島の出身で、21歳の頃に恵大島紬織物に就職して技術を会得します。

益田勇吉は大島紬作家として有名ですが、特に「白泥大島(はくでいおおしま)」の生みの親として知られています。

白泥大島は大島紬特有の泥染め技術を応用した白く美しい大島紬のことで、泥染め大島紬の風合いを残しつつ、白く明るい染色を実現しています。

また、龍郷柄や秋名バラといった古典柄にとらわれず、現代の感性に合うような都会的で洗練されたオリジナルの図柄を多く創作している点も魅力です。

桑原啓之介の大島紬

桑原啓之介の大島紬は、30,000円ほどが買取相場とされています。

桑原啓之介(くわはら けいのすけ)は、宮崎県都城市で生まれた白大島紬の巨匠として知られる織物作家です。

白大島紬は白や淡色の地色に繊細な柄が織り出された大島紬の一種で、桑原啓之介はその名門工房・桑原織物の2代目を受け継いでいます。

染めではなく織りで美しい色彩を表現する高度な技術が特徴で、特に精緻を極めた絣による繊細な暈(ぼ)かしを得意としています。

わずかに灰色がかった上品な白色に仕上がり、モノトーンの美しい色合いが多いため、幅広い年代の女性に人気があります。

桑原啓之介の白大島紬は国の伝統工芸品に指定されていますが、現在は制作を行っていないため、作品の希少性が高まっています。

叶孝則の大島紬

叶孝則の大島紬は、10,000円~50,000円ほどが買取相場となるでしょう。

叶孝則(かのう たかのり)は大島紬の着物作家として有名で、1996年に大島紬意匠部門の伝統工芸士に認定されています。

奄美大島出身で、幼少期から母親が機織りをする姿や音色に触れながら育ち、大島紬に親しみました。

大胆な配色と新しいデザインを取り入れた「Color Osima(カラーオオシマ)」という作品は、従来の大島紬とは異なる現代的な印象を持つカラフルなおしゃれ着として創作されていて、既成概念にとらわれない逸品を制作しています。

また、妻の叶若枝(かなえ わかえ)とともに、洋服向けのデザインとして柔らかい風合いを持つ「トカラ織り」を考案し、大島紬の新たな可能性を広げています。

叶孝則の革新的な大島紬の作品は、着物愛好家のみならず洋服コレクターからも熱い支持を受けていて、着物市場では高値で取引されています。

ひとくちに大島紬といっても、買取業者の販路や在庫状況によって査定額には大きな差が生まれます。

本記事ではできる限り最新の情報をお届けしていますが、売却を検討される際には、念のためGoogleなどで再度相場を検索し、現在の価格感を確認することをおすすめします。

▶︎ 大島紬 相場

コラム:そもそも大島紬とは?

そもそも大島紬とは

大島紬は鹿児島県の奄美大島を発祥とする高級絹織物で、1,300年以上の歴史を持つと言われています。

鹿児島市や宮崎県の都城市でも生産されており、茨城県の結城紬、石川県の牛首紬と合わせて日本三大高級紬として知られています。

大島紬は「テーチ木」(シャリンバイ)の煎汁液と鉄分を含む泥土を使用して糸を染色しているため、独特のこげ茶色や黒っぽい色に仕上がることが特徴です。

優雅な光沢があり、しなやかで軽く、シワになりにくいという特性を持っており、その品質の高さから経済産業大臣から伝統工芸品として指定されています。

大島紬の製作には、糸繰り・絣締め・染色・織りなど30以上の工程があり、職人が1枚ずつ丁寧に仕上げるため非常に高級です。

大島紬の種類

大島紬は、染め方や製法などにより、84の種類があると言われています。

染色別が6種類、糸の配列による組織別が14種類をかけ合わせて作ることができます。

大島紬の分類

染色別の分類

  • 泥大島紬
  • 泥藍大島紬
  • 正藍大島紬
  • 草木染大島紬
  • 色大島紬
  • 白大島紬
  • 草木染大島紬

組織別の分類

  • 9マルキ大島紬
  • 7マルキ大島紬
  • 5マルキ大島紬
  • 12マルキ大島紬
  • 二元越大島紬
  • 三元越大島紬
  • 割込式大島紬
  • 13算大島紬
  • 大衆品柄もの
  • 15.5算大島紬 高級品
  • 15.5算大島紬 特殊品
  • 総絣式大島紬
  • 夏大島紬
  • 男物大島紬
  • 横大島紬

着物市場で頻繁に取引され、とくに価値の高い大島紬の種類は、以下の3つご紹介します。

  • 泥大島
  • 泥藍大島
  • 草木泥染大島

泥大島(絣糸が泥白で地糸が泥染のもの)

泥大島(どろおおしま)はテーチ木と泥染めを繰り返すことで、独特の深みのある黒色に染められる大島紬です。

奄美大島特有の鉄分豊富な泥を使用することで、独特の風合いとツヤ感が生まれます。

大島紬の中で最も代表的な染め方で、単に「大島紬」と言うと、この泥大島を指すことが多いです。

泥藍大島(絣糸が藍染め地糸が泥染のもの)

泥藍大島(どろあいおおしま)は絣糸を植物の藍で染めた後に泥染めし、最初から泥染めした地糸と組み合わせた大島紬です。

全体的に深い黒色ですが、絣模様だけが藍色で目立ち、全体的に青みがかった黒色に仕上がることが特徴です。

藍色の深みと泥染めの風合いが調和した独特の色合いが魅力で、泥大島紬よりも爽やかな印象に仕上がります。

草木泥染大島(絣糸・地糸共に草木染色したもの)

草木泥染大島(くさきどろぞめおおしま)は、テーチ木以外の草木と泥で染めた大島紬です。

タブの木・ウコン・福木・クチナシ・マングローブ・やまもも・小鮒草(こぶなぐさ)などの草木染料が用いられます。

優しい色調と多彩な彩りが特徴で、使用される植物によって様々な風合いがあります。

自然の素材ならではの温かみのある色味を楽しめ、他の大島紬とは一味違った魅力を感じられます。

運営

合同会社ymtは、着物の宅配買取を中心としたリユース事業を展開しながら、買取業に携わる企業向けに現場目線のコンサルティングサービスも提供しています。

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